Unity を使用したスマートで持続可能かつ安全なまちづくり
SitowiseAEC 業界向け Unity ケーススタディ
人々や企業にとって、より持続可能かつ安全で効率的な生活環境を備えたまちづくりをするにはどうすればよいでしょうか?Sitowise は、安全で気ままな日常生活を送れるようにできるだけ最高の環境を整えることができるよう、将来のインフラストラクチャーと建物を見直しています。Sitowise は Unity を使用して、リアルタイムシミュレーションの実行、スマートシティの構築、デジタルツインの設計を担う体験を独自に作成しました。北欧諸国に 1,900 人を超える建造環境の専門家を擁している Sitowise は、最も持続可能で豊かな生活環境の開発において、信頼できるパートナーとなることを目指しています。
効率と精度を高め、環境に与える影響を減らし、安全性を向上させる
PC、Varjo VR、HTC Vive、Oculus Go、Samsung Gear、Lenovo Explorer Mixed Reality、拡張現実(AR)用のタブレットとスマートフォン
10 人(Sitowise が擁する約 2,000 人の建造環境の専門家によるバックアップ)
エスポー(フィンランド)
Unityを使用して真のDigital Twinsを構築
フィンランドに本社を置く Sitowise は、北欧における建造環境の専門家であり、デジタル性に重点を置いています。Sitowise は、土地建物、インフラストラクチャー設計、デジタルソリューションの 3 つの事業分野で事業を展開しています。「スマートシティ企業」として知られる同社のビジョンは、永続性がある持続可能な日常生活の基盤を提供することです。同社は、最先端のテクノロジーを取り入れたデジタルソリューションを活用して、より高いレベルを目指しています。
オーラを作る
Sitowise は、建造環境内の静的データと動的データの両方を観測して理解するために、視認性が高く、直感的に操作できるユーザーインターフェースを提供できる、デジタルツインソリューションを必要としていました。Sitowise は、建築設計、エンジニアリング、建設(AEC)業界向けに特別に設計およびエンジニアリングされたツールを備えた、Unity のリアルタイム 3D 開発プラットフォームを活用して、ビジュアライゼーション、データ管理、コラボレーションのためのバーチャル 3D 環境 Aura などのソリューションを作成しました。
成果
- デジタルデータ管理とビジュアライゼーションを使用することで効率が最大で 15 ~ 20% アップし、状況によっては効率がさらに高まる可能性がある
- 高額な投資を実際に行う前に、コスト効果の高いバーチャルテストやバーチャル機能を使用して確認できるようになった
- メンテナンスと環境コストを改善するために、建築業務システムの運用を最適化した
- 環境への影響を減らし、安全性を向上させ、住民に優しいまちづくりを実現した
国連によると、2050 年までに最大で世界人口の 70% が都市に住むようになるとのことです。都市と郊外の両方で豊かな生活を送ることができるよう Sitowise が取り組んでいるのは、それが理由です。都市を未来に導くために、世界は古いプロセスとインフラストラクチャーに対する新しいアプローチを必要としています。
「都市計画、建設、ロジスティクス業界は、進化する大きなチャンスを秘めています。実際、それは絶対に必要なことです」と、Sitowise のスペシャリストである Niko Moreira 氏は述べています。「現行のモデルは、急速な都市化、環境資源の減少、地球規模の気候変動により、真の課題に直面しています。スマートシティとデジタルツインは、住民が楽しく生活を送ることができるように最適化された、持続可能な、人間が中心に立つ都市環境を整備しつつ、これらの課題に対する最新のソリューションを提供します。」
スマートシティ、インフラストラクチャー、デジタルツインは密接に関連しています。デジタルツインの活用により、都市計画担当者、エンジニア、都市経営担当者、その他利害関係者がインフラストラクチャーに関する重要な情報を使用して共有することで、「都市のデジタル化の状況」を確認できます。このデータは、インテリジェントデータに基づく意思決定を制御、シミュレーション、最適化、予測、支援するのに使用できます。
「都市の環境下でデジタルツインの恩恵を完全に享受するには、現実世界とデジタル世界をつなぐ「命綱」として機能する、5G やモノのインターネット(IoT)などのスマートシティテクノロジーが必要です」と、Moreira 氏は述べています。「デジタルツインとスマートシティは持続可能な都市環境を作り出し、利害関係者、都市、プライベートアセットマネジメントなどに新たな収入源とビジネスチャンスをもたらします。」
Sitowise は 10 年以上もの間、AEC 業界でゲームエンジンを活用する取り組みの先頭に立ってきました。Sitowise は、デジタルツインのためのカスタムアプリケーション、シミュレーション、プレゼンテーションモデルをはじめ、リアルタイム環境の恩恵を受けるその他の種類のデジタルアセットの視覚表現を作成する開発プラットフォームとして、Unity を選びました。
「以前は、さまざまなオープンソースのリアルタイムグラフィックスエンジンを使用して視覚化することに取り組んでいました。地理情報システム(GIS)に関わる作業もあったため、単に美しいグラフィックスを作成すればよいというだけではなく、とにかく手順が多すぎました」と、Moreira 氏は述べています。「その状況を変えたのは Unity で、リアルタイム 3D を AEC 業界にとっての有力候補に変えました。今ではリアルタイム 3D、AR、VR を利用するプロジェクトでは、Unity を毎週および毎日のように使用しています。」
Sitowise は建造環境を視覚化してシミュレートできるリアルタイム 3D デジタルツイン環境を探していました。チームは Unity を使用して社内で設計およびエンジニアリングすることにしました。その結果完成したのが、Sitowise の都市モデリング、データ管理、リアルタイムシミュレーション、インタラクションのためのバーチャル環境 Aura でした。Aura は技術面において、リアルタイムで動的なデジタルツインを構築するための前提条件をすべて満たしています。
Aura のバーチャル環境が、スマートシティの目に見えないテクノロジーを重要なポジションに導きます。インテリジェントトラフィック、スマートストリート、建物や街頭設置物、人の流れに関する情報をでさえ、3D で形にすることができます。デジタルツインのために、Sitowise の 3D リアルタイムビューはさらに多くの次元に拡張できるので、データフローの分析やそれらの一般的な効果を、現実世界と並べてデジタルツインで確認できます。
フィンランドのオウル港では、港湾インフラストラクチャーのデジタルツインを作成し、それを各種 IoT センサーやデータソースとリンクすることを考えました。港湾の環境下において、デジタルツインは、港湾業務の計画と最適化、セキュリティの管理と監視、利害関係者間のコミュニケーションとコラボレーションのためのプラットフォームを提供することに使用できます。
「デジタルツインは、港湾の環境に最適です。多数の利害関係者が存在し、業務は多岐にわたるため、効率性とセキュリティを最適化することは、港湾業務を成功に導き、持続可能にするための鍵となります」と、Moreira 氏は述べています。
荷物の積み込みと積み下ろしは、港湾の最も重要な業務の 1 つです。わずかな遅延や問題でさえ蓄積され、港湾業務の効率に指数関数的な影響を与える可能性があります。デジタルツインなら、コスト効率が高く持続可能なパフォーマンスを実現するために、それらの業務の効率性を監視して解析し、業務を最適化するために綿密な観測が必要なシナリオに注力できるプラットフォームを提供できます。
Unity のリアルタイム 3D 開発プラットフォームをベースに構築された Aura を使用して、Sitowise は高い可視性を備えた港湾のデジタルツインを作成することができました。Unity の開発プラットフォームなら、動的な気象シミュレーションとパーティクルシミュレーションが組み込まれた拡張現実(XR)アプリケーションを、必要に応じて使用できます。オウル港の動的でインタラクティブなデジタルツインのおかげで、将来に向けてコストをあまりかけることなくボトルネックを排除し、輸送とロジスティクスのフローが環境に与える影響を減らして、セキュリティと安全性を高め、港湾業務の効率性と信頼性を高めることができます。
「オウル港は未来のデジタル化された港湾がどのように運営されるかについて再構想を勧めており、Sitowise は Unity と共にこのビジョンを実現する一翼を担っていることを誇りに思います」と、Moreira 氏は述べています。「Sitowise のスマートシティ、デジタルツイン、インフラストラクチャー、ロジスティクス計画、エンジニアリングに関する専門知識は、港湾の関係者や輸出関連企業に最新のデジタルサービスや競争上の優位性をもたらすのに役立ちます。」
Sitowise は、Aura だけではなく、照明から 5G のシミュレーション、プロパティマネジメントからアセットマネジメントまで、建設プロジェクトやスマートシティの全ライフサイクルを網羅する包括的なソリューションを提供するために、Unity を活用しています。
エスポー市と Aalto Campus and Real Estate(CRE)は、都市モデルを研究するためにライティングシミュレーターを必要としていました。これは、Unity と業界標準の Illuminating Engineering Society(IES)ライトプロファイルを使用して実現しました。アプリケーションは照明を正確にシミュレートして、都市計画担当者やエンジニアがさまざまな照明シナリオをテストし、都市環境の中でライトがどのような動作を見せるかを確認するのを支援します。また、さまざまなメーカーの異なるタイプの照明器具をテストし、複数のタイプの照明器具や照明用ポールを組み合わせることができます。
Sitowise は都市環境における 5G 信号のプロトタイプの動作をシミュレートするために、香港に無線信号伝搬シミュレーターを構築しました。エンジニアと都市計画担当者は、インタラクティブな無線信号源とアンテナを物理的に正確な環境に配置してカスタマイズできます。この環境は、各種テクノロジーを使用して無線信号のプロパティや動作をシミュレートするために使用し、構造や枝葉が信号の強度に与える影響など、さまざまなシナリオや環境要因をテストできます。
別のクライアントは、ビルディングインフォメーションモデリング(BIM)データを、ビルディングオートメーションシステムと暖房、換気、空調(HPAC)システムの建設のために発行された図面(IFC)情報を組み合わせた、アセットマネジメントとプロパティマネジメント用のデジタルツインを必要としていました。Sitowise は、それらのシステムの最適な運用と制御点を監視するために、特別なアルゴリズムを使用して IoT センサーのデータと HPAC システムをリンクしました。異常が発生した場合は、被害があったコンポーネントを検査するよう、ビルディングオートメーションシステムのスペシャリストに通知が送信されます。このケースでは、アセットマネジメントのデジタルツインがメンテナンス計画とコストを最適化し、システムと建物を健全かつ持続可能な方法で稼働させ続けます。